オープニング 可西舞踊研究所様による創作舞踊「二上山の賦」
巻２　199番　富山大学芸術文化学部有志　富山県〔ふたりの愛ランド〕
巻２　224番　高岡万葉ロータリークラブ〔ブギウギ風〕
巻２　226番・227番　高岡万葉ロータリークラブ〔勝手にしあがれ〕
巻５　810番　大橋智夫〔水琴窟〕
巻５　846番　大宰府万葉会［福岡］〔ギター〕
巻５　849番　明日香村、万葉集を楽しむ会
巻５　852番　明日香村、万葉集を楽しむ会〔夏は来ぬ〕
巻５　854番　明日香村、万葉集を楽しむ会〔もののけ姫〕
巻５　868番　西本正人［奈良］
巻５　873番　岡本三千代と万葉うたがたり会〔松浦佐用姫ひれ振り伝説〕大伴旅人
巻５　883番～ 万葉うたがたり会　上 未歩〔熊凝哀歌〕ソロ
巻５　898番～ 令和万葉ひとり旅［岩手］〔ギター〕
巻６　916番　 保与の会［富山］〔こきりこ〕
巻10　2133番～　チームかたかご〔フルート伴奏〕

巻11　2387番・2388番　岡本三千代〔夏は来ぬ〕
巻11　2463番・2464番　岡本三千代〔セレナーデ〕
巻11　2465番・2466番　岡本三千代〔この道〕
巻12　2867番　ミランドポリス
巻12　3139番～ 伎倍の茶屋［静岡］
巻16　3860番～ 万葉うたがたり会　園田 知子　上 未歩［兵庫・大阪］〔荒雄物語〕〔海難悲話〕
巻16　3878番～ 机島磨き上げ隊プロジェクト［石川］
巻19　4143番　寺井 秀之《かたかごの歌》大伴家持〔尾崎豊〕
巻19　4245番～　いわせのコーラス［富山］〔神田川〕
巻19　4249番～　いわせのコーラス　富山県〔石瀬野に〕
国吉義務教育学校　創作舞踊「須加の山」
野村小学校　創作舞踊「いわせのに」
古府小学校　創作舞踊「二上山の賦」
太田小学校　創作舞踊「つままの舞」

巻５　793番～ まつしたゆうり［大阪］
巻５　800番～ 犬養万葉記念館［奈良］
巻５　815番～ 大宰府万葉会［福岡］
巻５　847番～ 明日香村、万葉集を楽しむ会［奈良］
巻６　957番～ 多賀城万葉朗唱の会［宮城］
巻６　946番～ 横浜さわらび会［神奈川］
巻６　975番～ 多賀城万葉朗唱の会［宮城］
巻６　993番～ 交野が原万葉学級［大阪］
巻６　1019番～ 奈良天平girl’s［奈良］
巻６　1050番～ 名古屋招世クラブ［愛知］
巻７　1318番～ 富山奈良県人会［富山］
巻７　1362番～ 高岡市観光ガイドボランティアグループ　あいの風［富山］
巻８　1418番～ 犬養万葉記念館［奈良］
巻８　1431番～ 大和 美桜［京都］〔アニメ〕
巻８　1518番～ 交野が原万葉学級［大阪］
巻８　1536番～ 岡本 三千代［兵庫］
巻８　1655番～ 大和 美桜［京都］〔蟹満寺〕
巻10　2126番～ チームかたかご［富山・新潟］
巻10　2333番～ 万葉文化振興会越中万葉ツアー［奈良・大阪・兵庫・高知ほか］

巻11　2351番～ 万葉文化振興会越中万葉ツアー［奈良・大阪・兵庫・高知ほか］
巻11　2399番～ 因幡万葉歴史館万葉集朗唱の会実行委員会［鳥取］
巻11　2538番～ 讃岐万葉の会［香川］
巻12　3019番～ 宝塚コープカルチャー［兵庫］
巻12　3051番～ 高岡市万葉歴史館［富山］
巻12　3079番～ 養護老人ホーム 志貴野長生寮 万葉集クラブ［富山］
巻12　3127番～ 大和 美桜［京都］〔イラスト〕
巻12　3131番～ 伎倍の茶屋　短歌教室水曜コース［静岡］
巻12　3191番～ 伎倍の茶屋 短歌教室 木曜日コース［静岡］
巻12　3211番～ 赤坂・一期一会プロジェクト［東京］
巻13　3221番～ 赤坂・一期一会プロジェクト［東京］
巻13　3223番～ 横浜さわらび会［神奈川］
巻13　3253番～ 赤坂・一期一会プロジェクト［東京］
巻13　3256番～ 赤坂・一期一会プロジェクト［東京］
巻15　3723番～ 味真野観光協会［福井］
巻16　3878番～ 机島磨き上げ隊プロジェクト［石川］
巻17　4001番～ 学芸会［富山］

巻１　1番～ 文学者　中西 進〔ヴァイオリン伴奏〕
巻１　20番～ 高岡市更生保護女性会《茜さす・蒲生野問答歌》額田王
巻２　131番～ 清田 富雄《石見相聞歌》
巻３　266番 富山県川柳協会《近江の海》
巻３　475番～ 地域女性ネット高岡《安積皇子挽歌》大伴家持
巻５　892番～ こすも《貧窮問答歌》山上憶良
巻６　978番 富山ネパール文化交流協会《万代に語り継ぐべき名は》山上憶良
巻７　1068番 辻田 孝子《天の海に》柿本人麻呂
巻８　1418番～ 犬養万葉歴史館《石走る》志貴皇子
巻９　1807番～ 清田 富雄《真間の手児奈》
巻16　3791番～ 中山志衣奈《竹取の翁》
巻16　3853番 太田雨晴観光協会《ウナギの歌》大伴家持

巻17　3957番 高岡市老人クラブ連合会　《書持挽歌》大伴家持
巻17　3985番 竹内 文雄《二上山の賦》大伴家持
巻17　4000番 竹内 文雄《立山の賦》大伴家持
巻17　4011番～ 新川 広久《放逸せる鷹を思ひ、夢に見て感悦して作る歌（逃げた鷹の歌）》大伴家持
巻18　4094番～ 新川 広久《海ゆかば》大伴家持〔「出金詔書を賀く歌」〕〔おでかけどこでも朗唱〕〔一人芝居〕
巻19　4139番 林たかふみ《春の苑紅にほふ》大伴家持
巻19　4290番～ 高岡市老人クラブ連合会《春愁三首》大伴家持
巻20　4465番　山村 智秋　山村 一華　山村 旺世《族を喩す歌》大伴家持
巻20　4516番　高岡市万葉歴史館長　藤原 茂樹《最終歌》大伴家持

巻１　62番～　萌吟会成美教室、吟友婦中教室［富山］
巻３　390番～　三協アルミ詩吟教室［富山］
巻４　690番～　高岡岳風会［富山］
巻４　732番～　高岡岳風会動吟会［富山］
巻６　975番～ 多賀城万葉朗唱の会［宮城］
巻10　2217番・2218番　富山たばこ販売協同組合高岡支部［富山］
巻11　2487番～ 川原子供詩吟教室［富山］

巻17　3926番～ 高岡市老人クラブ連合会［富山］
巻18　4060番～　山室荒屋詩吟クラブ［富山］
巻18　4078番・4079番　元三人官女［富山］
巻18　4089番～　北陸招世クラブ［富山］
巻20　4446番・4447番・4448番　武内 稔［富山］

オープニング　かたかご幼稚園かたかご保育園「大伴家持の歌に寄せて」（かたかごの花・二上山の賦）
巻５　860番　大仏様の横で、雪を踏み平す人々［富山］
巻６　978番　富山ネパール文化交流協会《万代に語り継ぐべき名は》山上憶良
巻８　1471番～ しんいちとまさき［富山］
巻10　1976番～ ひらの ゆね［富山］

巻10　2147番～ ガールスカウト富山県第9団［富山］
巻10　2305番～ ガールスカウト富山県第5団［富山］
巻11　2524番～ Another works［東京］〔結婚報告〕
巻11　2532番～ WAKABA［富山］
巻19　4180番～ 米田家［富山］〔子育て真っ最中・ハラハラ・成長記録〕
巻20　4301番～ 一般社団法人高岡青年会議所［富山］
巻20　4466番～　山村智秋　山村一華　山村旺世［富山］〔母子〕

特別朗唱4017番　射水市いみず観光大使　佐藤 文香(市長代理）
巻３　257番～ とやま防災武将隊　天仁［富山］〔前田利長と佐々成政〕
巻４　635番～638番 高岡法科大学サイバー副学長たかホン［富山］〔モバイル型コミュニケーションロボット〕
巻５　861番～ 大仏様の横で、雪踏み平す人々［富山］〔家持ラテアート〕
巻８　1483番～ 高岡西部地区手話サークル あおい［富山］〔手話朗唱〕
巻８　1498番～ 合同会社FMヤマト［奈良］〔万葉集ラジオ番組〕
巻10　2038番～ 千山道場［富山］〔空手・ボクシング・ぬんちゃく〕

巻11　2808番～ 山村の会［富山］〔ダンディ帽・軽妙トーク・父子〕
巻14　3531番～ 高岡恋馬の会［富山］〔馬と万葉集〕
巻14　3559番～ 合同会社FMヤマト［奈良］〔万葉集ラジオ番組〕
巻15　3662番～ 福岡中学校２年生［富山］〔青春〕
巻16　3878番～ 机島磨き上げ隊プロジェクト［石川］〔能登・地域おこし〕
巻16　3881番～ ciel bleu［富山］〔洋菓子・フォト〕
巻17　4017番～ 誠吟会とVITAマジック・玉すだれサークル［富山］〔南京玉すだれ〕

新川広久さんの《放逸せる鷹の歌》と《海ゆかば（出金詔書を賀く歌」》。《放逸せる鷹》は2度目の朗唱で、前回（2020年）関係者の間で高く評価され、今年の感想トーク（巻7）のなかで解説の研究員が「研究者たちもこの歌に対する見方が変わるんじゃないかと思います」と絶賛されていました。

今回あらためて《放逸せる鷹の歌》を鑑賞して「一人語り」という舞台芸術を味わいました。語りの抑揚や間、速度もさることながら顔の表情や巻物の小道具をまじえた演出は小劇場演劇をほうふつとさせます。ユーモアをうまく表現されていました。

かつてプロ俳優が《海ゆかば》を即興で朗唱されたのを聴いたことがありましたが、即興というハンディがあったため五七調が攻略されておらず、朗読そのものは上手なのに意味が通じにくく残念でした。

新川さんは、《放逸せる鷹》《海ゆかば》を自ら解釈したうえで朗唱されていると思われ、その点で「研究者の見方が変わる」という指摘は当たっているかもしれません。

恐るべきは空覚えの能力でしょう。《放逸せる鷹》の4011番の長歌だけで105句ありそのうえ５つの短歌で25句、計130句をそらんじ、そのうえ途中で難解な左注を読みあげるのは並大抵のことでありません。今回、4015番のあとの左注で、唯一言い淀みがありご本人自身の苦笑がかいま見えましたが、それがかえって人間味を感じさせ、それを含めても今回最も印象的な朗唱でした。《書持挽歌》を聴いてみたくなりました。

万葉うたがたり会は毎回、美しい歌唱を披露なさっていらっしゃいますが、今回の〔松浦佐用姫ひれ振り伝説〕〔熊凝挽歌〕〔荒雄物語〕はいずれも美しい歌物語でした。

〔松浦佐用姫ひれ振り伝説〕は賛美歌のように響きました。12首の歌をうまく組み合わせて演じています。その順番は873→874→875、873→871→872、883、886→887→888→889→890、884、891というもので、うまく物語に仕立てています。〔熊凝挽歌〕〔荒雄物語〕は、現代のドラマのテーマソングを聴いているような不思議な感覚がありました。

岡本三千代さんたちの万葉うたがたり会は毎回、違うタイプの歌物語を動画でお寄せくださっていて、万葉集全20巻朗唱の会にとっては欠くことのできない演目になりました。《サンバ・DE・ツバキ》や《痩せたる人を笑う歌》といった作品も、今回とは違ってユーモラスで、印象に深く残っています。

今後、実行委員会の招待の形で、水上舞台でまとめて演じていただく機会が設けられることを望みます。

机島磨き上げ隊プロジェクト。

能登のその名も知られぬ無人島に万葉集を見いだし地域おこしにまで結び付ける取り組みは意欲的で素晴らしいと感じました。動画そのものもよく工夫されていて、「わし」という掛け声は、MCと解説者の感想トークでも話題になっていました。

背景の自然の映像が美しく、内海に流れ込む緩やかな流れ、そして青い水田と低くなだらかな山の端は「能登の里山里海」をうまく表現していました。最後に、桟橋から海へ飛び込む演出は、青空に白い雲、島の緑と相まってこの取り組みの元気をいっそう印象付けました。

「米田家」は若い夫婦と子供2人、一家4人でした。

文字を覚えたばかりの子が、万葉歌を懸命に読む。その姿は感動を呼びます。ことしも4466番をはじめ子どもたちの朗唱に拍手を送りたいと思います。一方、歌は詠まないのに水上舞台で主人公となり、鑑賞者の目を釘付けにした子がいました。これもまた立派な朗唱の会参加者だと思います。

朗唱中の父親の抱える腕から、1歳か2歳くらいの子が水上舞台に降ります。何にでも関心をもつ頃なんでしょうか、マイクやら五色幕やら興味津々で駆け回ります。母親はもう一人の乳児を抱いていてその子の面倒をなかなか見切れません。見ている側が朗唱そっちのけでハラハラさせられる場面が続きます。

朗唱は母親に交代。するとその子はついにマイクケーブルを引っかけて転び泣き出してしまいます。

このハプニングを見ていて、子育て真っ最中にもかかわらず朗唱に参加してくださった米田家に感謝を述べたくなりました。子育ては大変なものでしょうが、こういう微笑ましい場面があることで周囲に和みをもたらすのです。万葉集全20巻朗唱の会とは、万葉集を通じて人の輪と和をもたらすイベントであり、これぞ後世に残していくべき朗唱であると感じました。来年も再来年も参加して成長記録を作っていってほしいと願います。この子が朗唱する日を楽しみにしています。

昨年も注目された謡による朗唱です。七五・五七の古典である万葉集と、伝統芸能である能楽の謡との間に親和性があるのは不思議なことではないのでしょう。それにしても老人クラブ連合会の最初の朗唱者として、いきなりぐいと引き込まれる円熟味を感じさせる朗唱でした。

去年の映像を見返すと、この方は去年も老人クラブ連合会の先頭で、例の緑のバインダーの歌詞を読んでいらっしゃいました。謡本にはふつう独特の記号が記されているものですが、この方が手にされている万葉集の歌にもその記号が付されているのか、それとも即興であのリズム感をとっていらっしゃるのか、とても興味深く思われました。