高岡ケーブルネットワーク

万葉集全20巻朗唱の会

わが国最古の和歌集「万葉集」。その最終編纂者とされる大伴家持が赴任した地が現在の高岡です。「万葉集全20巻朗唱の会」は1990年(平成2年)から続く類まれなイベント。およそ2000人が3日間かけて朗唱リレーします。高岡ケーブルは第2回から生中継しています。
9ch

最新の放送内容

2023朗唱動画リンク集

埋もれがちな面白い朗唱・優れた朗唱・微笑ましい朗唱をメモしたリンク集です。
万葉集の魅力に触れていただければ幸いです。
なお4516首すべてを網羅するものではありませんのでご了承ください。

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編集者が選ぶ心に残る 2023年 朗唱5選  2023年1時間ダイジェスト(YouTube)


(2023年10月25日更新)※敬称略

音楽系

オープニング 可西舞踊研究所様による創作舞踊「二上山の賦」
巻2 199番 富山大学芸術文化学部有志 富山県〔ふたりの愛ランド〕
巻2 224番 高岡万葉ロータリークラブ〔ブギウギ風〕
巻2 226番・227番 高岡万葉ロータリークラブ〔勝手にしあがれ〕
巻5 810番 大橋智夫〔水琴窟〕
巻5 846番 大宰府万葉会[福岡]〔ギター〕
巻5 849番 明日香村、万葉集を楽しむ会
巻5 852番 明日香村、万葉集を楽しむ会〔夏は来ぬ〕
巻5 854番 明日香村、万葉集を楽しむ会〔もののけ姫〕
巻5 868番 西本正人[奈良]
巻5 873番 岡本三千代と万葉うたがたり会〔松浦佐用姫ひれ振り伝説〕大伴旅人
巻5 883番~ 万葉うたがたり会  未歩〔熊凝哀歌〕ソロ
巻5 898番~ 令和万葉ひとり旅[岩手]〔ギター〕
巻6 916番  保与の会[富山]〔こきりこ〕
巻10 2133番~ チームかたかご〔フルート伴奏〕

万葉故地 団体グループ・愛好家

名歌・秀歌・人気歌

吟詠・謡曲

こども・家族・ほっこり

アラカルト

特別朗唱4017番 射水市いみず観光大使 佐藤 文香(市長代理)
巻3 257番~ とやま防災武将隊 天仁[富山]〔前田利長と佐々成政〕
巻4 635番~638番 高岡法科大学サイバー副学長たかホン[富山]〔モバイル型コミュニケーションロボット〕
巻5 861番~ 大仏様の横で、雪踏み平す人々[富山]〔家持ラテアート〕
巻8 1483番~ 高岡西部地区手話サークル あおい[富山]〔手話朗唱〕
巻8 1498番~ 合同会社FMヤマト[奈良]〔万葉集ラジオ番組〕
巻10 2038番~ 千山道場[富山]〔空手・ボクシング・ぬんちゃく〕

巻11 2808番~ 山村の会[富山]〔ダンディ帽・軽妙トーク・父子〕
巻14 3531番~ 高岡恋馬の会[富山]〔馬と万葉集〕
巻14 3559番~ 合同会社FMヤマト[奈良]〔万葉集ラジオ番組〕
巻15 3662番~ 福岡中学校2年生[富山]〔青春〕
巻16 3878番~ 机島磨き上げ隊プロジェクト[石川]〔能登・地域おこし〕
巻16 3881番~ ciel bleu[富山]〔洋菓子・フォト〕
巻17 4017番~ 誠吟会とVITAマジック・玉すだれサークル[富山]〔南京玉すだれ〕

編集者が選ぶ心に残る 2023年 朗唱5選

巻17 4011番~4016番  巻18 4094番

新川広久さんの《放逸せる鷹の歌》《海ゆかば(出金詔書を賀く歌」》。《放逸せる鷹》は2度目の朗唱で、前回(2020年)関係者の間で高く評価され、今年の感想トーク(巻7)のなかで解説の研究員が「研究者たちもこの歌に対する見方が変わるんじゃないかと思います」と絶賛されていました。

今回あらためて《放逸せる鷹の歌》を鑑賞して「一人語り」という舞台芸術を味わいました。語りの抑揚や間、速度もさることながら顔の表情や巻物の小道具をまじえた演出は小劇場演劇をほうふつとさせます。ユーモアをうまく表現されていました。

かつてプロ俳優が《海ゆかば》を即興で朗唱されたのを聴いたことがありましたが、即興というハンディがあったため五七調が攻略されておらず、朗読そのものは上手なのに意味が通じにくく残念でした。

新川さんは、《放逸せる鷹》《海ゆかば》を自ら解釈したうえで朗唱されていると思われ、その点で「研究者の見方が変わる」という指摘は当たっているかもしれません。

恐るべきは空覚えの能力でしょう。《放逸せる鷹》の4011番の長歌だけで105句ありそのうえ5つの短歌で25句、計130句をそらんじ、そのうえ途中で難解な左注を読みあげるのは並大抵のことでありません。今回、4015番のあとの左注で、唯一言い淀みがありご本人自身の苦笑がかいま見えましたが、それがかえって人間味を感じさせ、それを含めても今回最も印象的な朗唱でした。《書持挽歌》を聴いてみたくなりました。

巻5 871番~875番・883番   巻16 3860番~3869番

万葉うたがたり会は毎回、美しい歌唱を披露なさっていらっしゃいますが、今回の〔松浦佐用姫ひれ振り伝説〕〔熊凝挽歌〕〔荒雄物語〕はいずれも美しい歌物語でした。

松浦佐用姫ひれ振り伝説〕は賛美歌のように響きました。12首の歌をうまく組み合わせて演じています。その順番は873→874→875、873→871→872、883、886→887→888→889→890、884、891というもので、うまく物語に仕立てています。〔熊凝挽歌〕〔荒雄物語〕は、現代のドラマのテーマソングを聴いているような不思議な感覚がありました。

岡本三千代さんたちの万葉うたがたり会は毎回、違うタイプの歌物語を動画でお寄せくださっていて、万葉集全20巻朗唱の会にとっては欠くことのできない演目になりました。《サンバ・DE・ツバキ》《痩せたる人を笑う歌》といった作品も、今回とは違ってユーモラスで、印象に深く残っています。

今後、実行委員会の招待の形で、水上舞台でまとめて演じていただく機会が設けられることを望みます。

巻16 3878番~

机島磨き上げ隊プロジェクト

能登のその名も知られぬ無人島に万葉集を見いだし地域おこしにまで結び付ける取り組みは意欲的で素晴らしいと感じました。動画そのものもよく工夫されていて、「わし」という掛け声は、MCと解説者の感想トークでも話題になっていました。

背景の自然の映像が美しく、内海に流れ込む緩やかな流れ、そして青い水田と低くなだらかな山の端は「能登の里山里海」をうまく表現していました。最後に、桟橋から海へ飛び込む演出は、青空に白い雲、島の緑と相まってこの取り組みの元気をいっそう印象付けました。

巻19 4180番~

米田家」は若い夫婦と子供2人、一家4人でした。

文字を覚えたばかりの子が、万葉歌を懸命に読む。その姿は感動を呼びます。ことしも4466番をはじめ子どもたちの朗唱に拍手を送りたいと思います。一方、歌は詠まないのに水上舞台で主人公となり、鑑賞者の目を釘付けにした子がいました。これもまた立派な朗唱の会参加者だと思います。

朗唱中の父親の抱える腕から、1歳か2歳くらいの子が水上舞台に降ります。何にでも関心をもつ頃なんでしょうか、マイクやら五色幕やら興味津々で駆け回ります。母親はもう一人の乳児を抱いていてその子の面倒をなかなか見切れません。見ている側が朗唱そっちのけでハラハラさせられる場面が続きます。

朗唱は母親に交代。するとその子はついにマイクケーブルを引っかけて転び泣き出してしまいます。

このハプニングを見ていて、子育て真っ最中にもかかわらず朗唱に参加してくださった米田家に感謝を述べたくなりました。子育ては大変なものでしょうが、こういう微笑ましい場面があることで周囲に和みをもたらすのです。万葉集全20巻朗唱の会とは、万葉集を通じて人の輪と和をもたらすイベントであり、これぞ後世に残していくべき朗唱であると感じました。来年も再来年も参加して成長記録を作っていってほしいと願います。この子が朗唱する日を楽しみにしています。

巻17 3926番・3927番・3928番

高岡市老人クラブ連合会

昨年も注目された謡による朗唱です。七五・五七の古典である万葉集と、伝統芸能である能楽の謡との間に親和性があるのは不思議なことではないのでしょう。それにしても老人クラブ連合会の最初の朗唱者として、いきなりぐいと引き込まれる円熟味を感じさせる朗唱でした。

去年の映像を見返すと、この方は去年も老人クラブ連合会の先頭で、例の緑のバインダーの歌詞を読んでいらっしゃいました。謡本にはふつう独特の記号が記されているものですが、この方が手にされている万葉集の歌にもその記号が付されているのか、それとも即興であのリズム感をとっていらっしゃるのか、とても興味深く思われました。

このほか、編集者からみて印象に残った朗唱は、万葉故地特別朗唱の4017番佐藤文香さん、映像作品では1019番~奈良天平girl’sさん3881番~ciel bleuさん3183番~福岡中学校、トークでは793番~まつしたゆうりさん2808番~山村の会などがありました。ぜひリプレーしてみてください。

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